船橋市 動物病院 | ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック | 整形外科 犬の白内障

ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック

病気の話
皮膚・耳の病気
健康な皮膚には、外界の刺激から表皮を保護し、細菌などの侵入や水分の蒸発
を防ぐ“バリア機能”が働いています。何らかの理由でバリア機能が低下すると
常在菌のパワーバランスやターンオーバーのサイクルが乱れ、乾燥して痒みを
引き起こしやすくなります。
vol.1
アレルギー性皮膚炎
アレルギーとは、自分の体を守る免疫機能が特定の物質に過剰に反応している状態を指します。アレルギーを起こす特定の物質(抗原)をアレルゲンといい、アレルギーによって皮膚に炎症やかゆみが引き起こされた状態をアレルギー性皮膚炎といいます。アレルゲンの主な種類には、「食物」「アトピー」「ノミ(外部寄生虫)」があります。ここでは食物とアトピーを取り上げます。
【食物アレルギー性皮膚炎】
食物のアレルゲンによるもので、IgE(アレルギーに関与する抗体)が過剰に産生される場合とリンパ球(免疫細胞)が過剰に反応する場合のどちらか、または両方の反応により皮膚炎やかゆみが起こります。
【犬アトピー性皮膚炎】
環境中のアレルゲンによるもので、ハウスダストや花粉などに対してIgEが過剰に産生され、かゆみや皮膚炎が起こります。
※食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎が同時に起こっているケースも多く見られます。
食物アレルギー性皮膚炎の典型的な痒みの部位
犬アトピー性皮膚炎の典型的な痒みの部位
診断
病歴(今までの経過)や身体検査に加えてアレルギー検査が必要となる場合があります。
アレルギー検査には、皮内反応検査、アレルゲン特異的IgE検査(血液検査)、リンパ球反応検査(血液検査)、アレルギー強度検査(血液検査)があります。
皮内反応検査
アレルゲンの可能性が高いと考えられる物質を少量ずつ注射して皮膚の反応(発赤、痒みなど)を観察します。
アレルゲン特異的IgE検査
採血した血液をもとに何の物質に対するIgEが増えているかを調べ、アレルゲン物質を特定します。
リンパ球反応検査
動物のアレルギーには、IgE抗体を介するⅠ型アレルギーのほか、リンパ球を介するⅣ型アレルギーがあり、アレルゲンが体内に入ってから反応が完了するまで24時間から48時間を要することから遅延型アレルギーとも呼ばれています。血液から分離させたリンパ球を各種の食物タンパクと反応させ、リンパ球の数を測定することでアレルゲンを特定します。
アレルギー強度検査
アレルゲンの特定ではなくアレルギー症状を数値化し、炎症の強度などを客観的に捉えるための検査です。血液中のリンパ球を用いて検出します。慢性期疾患における治療薬の選定や治療効果の判断に役立ちます。
治療
① アレルゲンの除去
食物アレルギーの場合
  • アレルギー検査を行った場合:アレルゲンが含まれていない療法食に変更。
  • アレルギー検査を行わなかった場合:一般的なフードでは使わない食物をメインにした療法食や、タンパク質を小さく分解してアレルゲンと認識されにくくした療法食に変更。
    ※療法食に変更して効果が出るのに1カ月ほどかかります。
アレルゲンが環境中に存在する場合
完全に除去することはできないため、掃除をこまめに行い、草木に反応する場合は季節によって散歩ルートを変える、散歩を控える、草むらに入らないなど工夫が必要です。
② 投薬治療
かゆみや炎症を抑え、アレギー反応の悪循環を止める目的で使用します。
内用薬や外用薬、また徐々にアレルゲンを投与(皮下注射や経口投与)していき体質改善を行う減感作療法(げんかんさりょうほう)やインターフェロンを使った治療もあります。
③ スキンケア
皮膚のバリア機能が低下するため、細菌や真菌(カビ)などに感染しやすくアレルゲンの影響を受けやすくなります。皮膚の状態により、シャンプーの種類や頻度を設定し、保湿剤を使い分けます。
予後
アレルギー性皮膚炎はその動物の体質によるものなので、状態の推移を見守りながら治療方法をうまく組み合わせていくことが重要です。できるだけ快適な時間と状態を維持し続けていけるよう、工夫しながら気長に付き合っていきましょう。
実際の症例紹介も併せてご覧ください
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