船橋市 動物病院 | ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック | 整形外科 犬の白内障

ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック

病気の話
脳・神経の病気
脳や神経の病気は、日常生活に深刻な影響を与えるだけでなく、
生命の危機にも直結するため、早期発見、早期治療が何より重要です。
てんかんなど発作を伴う病気については投薬で抑えていく治療になります。
vol.1
犬の認知機能不全症候群
犬も、加齢により人の認知症と同様の症状を呈することがあります。脳の機能が衰えることで様々な行動障害が引き起こされる病気で、認知機能不全症候群と呼ばれています。14歳以上のシニア犬に多く見られ、17歳以上では約半数に症状が認められると言われています。
主な症状
見当識障害
  • 歩く時に物にぶつかる
  • 家の中で迷子になる、動けなくなる
  • なじみのある人や動物を認識できなくなる
社会的交流
  • 人や動物を怖がる、攻撃的になる
睡眠/覚醒サイクル
  • 夜中に歩き回る、鳴いたり吠えたりする
粗相/学習と記憶力
  • トイレを失敗する
  • できていたことができなくなる
活動性
  • 遊びを喜ばなくなった
  • 徘徊する
  • 旋回運動をする
不安
  • 光や音を避ける、怖がる
  • 新しい環境を嫌がる
*特徴的な病態として「頭が下がった姿勢、ぎこちない歩き方」が見られるほか、視力低下など感覚機能の変化も見られることがあります。
(これらは脳神経やホルモンの病気でも見られる症状になります)
愛犬の衰えが気になり始めたら、まずはチェック!
「DISHAA認知機能評価シート」

ご家庭で認知機能のセルフチェクができる「DISHAA認知機能評価シート」という評価ツールがあります。
程度によってスコアをつけ、受診のための判断材料にすることができます。シニアの子の飼い主様は、ぜひ一度「DISHAA」で検索してお試しください。
治療
現在、犬の認知機能不全症候群を根本的に治す薬はありません。症状を軽くする薬、進行を抑えるサプリメント等を使う、また不快感をとる、生活環境や接し方を変えて不安やストレスを取り除くことで症状を緩和できることがあります。
シニア犬のための生活環境・整備
①安全な環境
足腰が弱くなり、つまずく、滑る、転ぶなどしやすくなります。
滑りにくく、段差がない、転んだ時も衝撃が少ない安全な環境で生活させてあげましょう。
タオルや補助具を使い、身体を支え、転んでも怪我をしにくい場所で歩かせるようにしましょう。
また後ろにさがることが苦手になる、室内の環境がわからなくなることもあり、部屋の角や隙間、段差から動けなくなります。周りを囲い、安全に行動できる範囲を制限するのもおすすめです。
②負担が少ない環境
動が少なくなるよう、水飲み、ベッド、トイレ等の場所を近くにまとめましょう。
立つことが難しくなり、寝ている時間が長くなると、「床ずれ」ができやすくなります。
柔らかく体圧分散効果のあるマットやクッションを使用し、寝姿勢を時々変えてあげましょう。
状態などに応じて必要となる素材や反発性が違いますので、当院スタッフまでご相談ください。
③安心できる生活習慣
シニア犬は目や耳が悪くなり、人や他の動物が近づいても気が付かないことがあります。
声をかけて触る、前方からゆっくり近づくなど気をつけましょう。
また、食事や散歩などの日課は毎日規則正しく行い、生活リズムや生活環境の大きな変更はなるべく避けましょう。
認知機能不全症候群になった犬は飼い主の介護を必要とします。夜起きて鳴くなどの行動はご家族にとって大きな負担となるかもしれません。
お一人で問題を抱え込まず、ご家族で共有すると共に動物病院や獣医師に相談しながら長く一緒に過ごしてきた愛犬のケア、介護をしていきましょう。